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宮原知子にのしかかる回転不足の課題
メダル争いへ、求められる完璧な演技

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思ったほど得点が伸びなかった理由

思うように得点が伸びなかった宮原知子。原因は、冒頭のコンビネーションジャンプで2つとも回転不足を取られたためだった
思うように得点が伸びなかった宮原知子。原因は、冒頭のコンビネーションジャンプで2つとも回転不足を取られたためだった【Getty Images】

 得点が発表された瞬間、宮原知子(関西大)の表情は固まった。会場内もざわつき、何とも言えない微妙な雰囲気に包まれた。68.95点。決して低い点数ではないが、大きなミスなく滑り切ったことに加え、宮原本人が演技終了の瞬間に両手を上げてガッツポーズしたことを思えば、その落差に戸惑いを覚える人が多かったのだろう。


 11日に行われた平昌五輪の団体戦、女子ショートプログラム(SP)で日本から出場した宮原は、前述のように68.95点で4位に終わった。この結果、日本は団体戦4位でフリースケーティング(FS)に進出した。


 思うように得点が伸びなかった原因は、冒頭の3回転ルッツ+3回転トウループで両ジャンプともに回転不足を取られたためだ。本来の基礎点は10.30点だが、2つのジャンプで回転不足を取られてしまうと、それが7.20点まで落ちてしまう。加えてGOE(出来栄え点)でも今回は1.20点が引かれていたため、得た点数は6.00点となってしまった。


 他の2つのジャンプと、スピンやステップでは取りこぼしがなかったため、このコンビネーションが決まっていれば、70点を超えた計算になる。宮原自身もその手応えを得ていたのだろう。事実、「3回転トウループは自分でも大丈夫かなという感覚で下りていたので、点数が出たときはジャンプ全部が回転不足を取られてしまったのかなと思いました」と演技後に語った。


 得点については悔しがっていたものの、演技全体については宮原も満足した様子だった。「練習から緊張していたので、本番はもっと緊張すると思っていたんですけど、思ったよりも楽しく滑れました」と笑顔。ステップにもメリハリがあり、『SAYURI』の音楽に乗せて、見る者を引き込んでいった。

回転不足を取られるのは6回連続

「良いときの感覚を忘れずにやることが大事」と宮原はあくまで前向きだ
「良いときの感覚を忘れずにやることが大事」と宮原はあくまで前向きだ【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 初めての五輪の舞台で、転倒などの大きなミスなく滑り切ったことは評価されて然るべきだろう。とはいえ、ジャンプの回転不足は21日から行われる女子シングルに向けて懸念材料だ。


 宮原にはジュニア時代から回転不足の課題が常につきまとっていた。ジャンプに高さがないため、回るスピードを上げてその克服に努めてきたのだが、今季は多くの試合で回転不足を取られてしまっている。昨季に負ったケガによるブランクがあった影響もあるかもしれないが、昨年12月に行われたグランプリ(GP)ファイナルのFSから6回連続(全日本選手権のSPとFS、四大陸選手権のSPとFS、平昌五輪の団体戦SP)で回転不足とジャッジされているのは、やはり多いと言わざるをえない。


 回転不足を取られると、必然的にGOEはマイナス評価になる。高得点を狙えるコンビネーションジャンプで減点されるのはかなり痛い。男子のように4回転ジャンプを跳べる人がいない女子は、ジャンプの基礎点で差がつきにくい。そのため、こうしたミスで得点を失うのは国際大会では致命傷になりかねないのだ。


 もっとも宮原はあくまで前向きだった。「3回転ルッツ+3回転トウループに入るときのスピードが足りなかった実感はあるのか?」という質問に対しては「あんまり悪いジャンプだったとは思っていないので、少しの修正で頑張って直したい」と答え、「ルッツが良ければ自然とトウループも良いジャンプが跳べるので、良いときの感覚を忘れずにやることが大事だと思っています」と続けた。

「悪くないスタート」で精神面はクリア

悪くないスタートを切れたことで、精神面はクリアできたと言えるだろう。あとは技術面をどう克服するか
悪くないスタートを切れたことで、精神面はクリアできたと言えるだろう。あとは技術面をどう克服するか【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 団体戦の女子SPは、個人資格で参加しているロシアのエフゲーニャ・メドベージェワが81.06点という世界歴代最高得点をマークし、首位に立った。2位にカロリーナ・コストナー(イタリア)、3位にケイトリン・オズモンド(カナダ)がつけている。女子シングルではこのメドベージェワと、同じ個人資格で出場予定の15歳・アリーナ・ザギトワの力が抜けており、現実的に考えれば宮原は3位争いに身を投じることになりそうだ。


 そこで求められるのがミスのない完璧な演技。“ミス・パーフェクト”の異名を持つ宮原の持ち味を最大限に発揮するしかない。この団体戦でも宮原はスピンやステップですべてレベル4を獲得。回転不足を取られた冒頭のコンビネーション以外は致命的なミスはなかった。


 宮原は五輪での初滑りを終えてこう語る。


「リンクに足を踏み入れたときは、いよいよ五輪で演技するときが来てしまったんだなと思って、ドキドキとワクワクとうれしさでいっぱいでした。大きなミスはなかったですし、最初から気持ち良く滑れたのは良かったと思います。試合の出だしは良かったと思うので、個人戦もこのまま思い切っていきたいです」


 ミスは技術面と精神面から生まれるものでもある。悪くないスタートを切れたことで、精神面はクリアできたと言えるだろう。あとは技術面をどう克服するか。女子シングルまで残り10日。宮原は自身最大の課題と向き合う。


(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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