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スピードスケートに漂う躍進の予感
「今、チームはすごく良い雰囲気」

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すでにソチ五輪の成績を上回る

小田が男子1500メートルで5位入賞、この種目では日本人過去最高タイの成績と大健闘を見せた
小田が男子1500メートルで5位入賞、この種目では日本人過去最高タイの成績と大健闘を見せた【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 平昌五輪のスピードスケート競技は13日時点で、男女4種目が終了した。ここまで日本は女子1500メートルで高木美帆(日体大助手)が銀メダルを獲得。また女子3000メートルで高木(5位)と佐藤綾乃(8位/高崎健康福祉大)、女子1500メートルで小平奈緒(6位/相沢病院)、男子1500メートルで小田卓朗(5位/開発計画研究所)が入賞と、幸先の良いスタートを切っている。4年前のソチ五輪は期間を通してメダルなし、入賞が4だったため、すでにその成績を上回っているのだ。


 今回は大会前から「世界と戦える最強の選手団」と日本スケート連盟の湯田淳スピード強化部長が語っていたように、期待が高かった。女子500メートルで連勝記録を続け、1000メートルの世界記録を保持する小平や、1500メートルで今季のワールドカップ(W杯)を全勝している高木ら個人だけではなく、チームパシュート(特に女子)もメダル獲得の可能性が高い。とはいえ、事前の下馬評通りにいかないのが五輪の怖いところ。選手たちが本来の力を発揮するためには、序盤の種目で勢いに乗り、無用なプレッシャーから解放させることが重要だった。


 その期待に応えたのが高木だった。日本選手の先陣を切って登場した女子3000メートル。5位とメダルには届かなかったものの、低地での自己ベストを記録する滑りを見せた。また同種目では佐藤も自己ベストを2秒以上更新し、8位入賞と躍進を遂げた。「ほぼほぼ完璧なレースができた」と笑顔を見せた五輪初出場の21歳は、厳密に言えば高木よりも先にレースに臨んだため、好調な流れを作った影の立役者と言えるかもしれない。


 さらに翌日の男子5000メートルでは一戸誠太郎(信州大)が、低地での自己ベストを7秒以上も更新。惜しくも9位と入賞は逃したが、その奮闘ぶりにチームが活気づいた。

勢いを決定付けた高木の銀メダル獲得

スピードスケート日本代表チームの勢いを決定付けたのが、女子1500メートルで銀メダルを獲得した高木だ
スピードスケート日本代表チームの勢いを決定付けたのが、女子1500メートルで銀メダルを獲得した高木だ【写真:松尾/アフロスポーツ】

 そしてスピードスケート競技開始3日目に待望のメダル獲得の瞬間が訪れる。前述のように女子1500メートルで高木が2位に入り、銀メダルを手にしたのだ。高木自身は「やっぱり金メダルを取りたかった」と悔しがっていたが、これによりチームの勢いが決定的なものになった。


 男子1500メートルに出場した中村奨太(ロジネットジャパン)は「最初の女子3000メートルから、誠太郎の男子5000メートルにかけてチームが盛り上がってきていました。そしてそんな中で美帆がメダルを取って、ダメを押してくれた。今、チームはすごく良い雰囲気です」と、ポジティブな空気に包まれていることを明かす。


 また、同じく男子1500メートルで10位に入ったウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)は、同じチームパシュートのメンバーである一戸の滑りに刺激を受けたという。「誠太郎があそこまで会心のレースを見せてくれたので、『俺もやってやるぞ』という気持ちになりました」。その言葉通り、序盤から攻めたウイリアムソンは自己ベストにこそ届かなかったが、「この4年間でベストのレースができた」と満足げだった。


 高木のメダル獲得に勇気をもらったのは小田だ。「見ていて興奮しましたし、届かないところじゃないんだと彼女が証明してくれました。僕も自分を信じて『できる、やってやろう』と思ってすごく気持ちが上がりました」。小田は男子1500メートルで惜しくもメダルには届かず5位。悔し涙を浮かべたが、それでもこの種目では1988年カルガリー五輪の青柳徹に並ぶ日本人過去最高成績と大健闘を見せた。

「金メダルは1個に限定せず複数個」が目標

エース小平をはじめ、金複数個の獲得に期待がかかる
エース小平をはじめ、金複数個の獲得に期待がかかる【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 スピードスケートは個人競技だが、日本チームとして出る五輪においては、その雰囲気は否応なく連鎖するもの。4年前のソチ五輪では、スピードスケート競技開始3日目に「メダル候補」と言われた男子500メートルで加藤条治(博慈会)が5位、長島圭一郎が6位に終わると、その後に登場した他の選手はひと桁順位すらおぼづかず、メダルなしという惨敗を喫した。レース後の選手たちのコメントもネガティブなものが大半で、チームが負の連鎖に陥っているように感じられた。


 それに比べると、今回は選手たちのコメントも前向きで、明るい雰囲気に包まれている印象を受ける。もちろんW杯など国際舞台で経験を積んできた選手も多く、実力が備わっているのもあるだろうが、大会序盤で勢いをつけることに成功したのが何よりも大きい。


 14日には女子1000メートルが行われる。同種目には世界記録を持つ小平と、すでにメダルを獲得した高木の両エースがエントリー。さらに遅咲きの30歳・郷亜里砂(イヨテツスピードクラブ)も500メートルではメダル候補に挙がる実力者だ。複数メダル獲得も十分に現実味を帯びている。


 ここでさらに勢いが加速すれば、金メダルが有力視されている女子500メートル(小平が出場)と、女子チームパシュートへも好影響を及ぼすことだろう。男子も混戦の500メートルや、今季のW杯カルガリー大会で2位に入ったチームパシュートでチャンスが出てきそうだ。


 日本スケート連盟はW杯などでの実績を考慮し、代表選考会後に平昌五輪での目標を「金1個を含むメダル4個、入賞10」から「金メダルは1個に限定せず複数個」に上方修正した。高い目標だが、「最強の選手団」である彼らならこれをたやすくクリアするかもしれない。


(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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